ピロリ菌を除去すると太る!?

ヘリコバクターピロリ菌というと、胃がんとの関連性がWHOによってもclass Iのがんを引き起こす原因と特定されている悪名高き菌というイメージがあります。

 

ピロリ菌がいれば、すぐにでも除菌しなきゃ!

が当たり前の世の中にはなっています。

 

2005年にはヘリコバクターピロリ(H・ピロリ)菌の発見と、胃炎や消化性潰瘍における役割の発見という内容でノーベル医学生理学賞を受賞しています。

 

ピロリの除菌が胃がんの発生数を減らせることもいくつもの研究で示されています。

 

ちなみに、ホリエモンこと堀江貴文さんがリードする予防医療普及協会においてもピロリの除菌が第一に取り組むテーマとして掲げられています。

 

しかし、かの昔から人間と共生してきたピロリ菌は完全なる悪玉菌なのでしょうか?

 

それに一石を投じた研究者がおりました。ニューヨーク大のブレイザー教授です。

 

ブレイザー教授の研究グループは1998年、大半の人でピロリ菌は胃酸の量の調節を助け、自分自身と宿主に適した環境を作り出すことで人体の役に立っているという研究う結果を発表しました。

 

胃酸の分泌量がピロリ菌の繁殖には多すぎる場合、cagAという遺伝子を持つピロリ菌株が、胃酸を減らすよう指示するタンパク質を作り始めます。

 

ピロリ菌は実は胃酸分泌の調整という重要な役割を担っていたのです。

 

ピロリ菌を除菌することで、胃がんのリスクを減らせることはわかってきたのですが、胃酸分泌をコントロールするピロリがいなくなってしまうと、どうしても胃酸過多になってしまいます。

 

するとどうなるでしょうか。

 

胃酸が食道に逆流してしまい、逆流性食道炎の罹患患者が増えてしまったのです。

 

逆流性食道炎は食道に炎症を起こし、食道がんのリスクを高めます。

 

胃がんにならないためにピロリを除菌したものの、今度は食道がんのリスクを高める。。。

 

ピロリがいないと胃がんは発生しないことはわかりましたが、胃酸を減らすピロリが本当に胃がんの原因なのでしょうか??

 

実はこの問題には結論が出ていません。

 

また、ピロリ菌については、また別の興味深い研究結果があります。

 

ブレイザーらは2011年、ピロリ菌の保菌者とそうでない人で、食事の前後のグレリン濃度がどう変化するかを調査し、発表しました。

 

グレリンは空腹時に胃から分泌される食欲を増加させるホルモンで、空腹時にグーとお腹がなるのはグレリンが分泌されることによるサインと言われています。

 

食事をすると食べる必要がないので、グレリンの分泌量は減ります。

 

この研究の結果、ピロリ菌がいると食後にグレリン濃度が低下するものの、ピロリ菌を除菌すると低下しなくなるということがわかりました。

 

つまり、ピロリ菌がいなくなると、食べてもお腹いっぱいにならないわけですね。

 

ピロリ菌が食欲の制御にかかわっているかもしれないということがわかりました。

 

ただ、メカニズムはまだほとんどわかっていません。

 

アメリカにおける92人の退役軍人を対象とした研究では、ピロリ菌の保菌者を抗生物質で除去すると、もともとピロリ菌を持っていない人に比べて体重が増えることが示されました。

 

つまり、ピロリ菌を除去すると、太るわけです。

 

その理由としては、前述のとおり、グレリン濃度が下がるべきときも高いままになり、空腹を感じる時間が長くなって食べ過ぎた可能性が考えられるというわけです。

 

だからといって、すでに除菌してしまった人は、「私、もうやせられない」とあきらめたりしないでくださいね。

 

食欲はほかにも様々な制御機構があるので、他の手立てが利用できます。

 

ピロリ菌は胃酸分泌や食欲コントロールなど、ヒトにとって大切な生理機能を担ってきた共生菌であるものの、他のなんらかの原因と相まって胃がんを発生させる共犯者なのかもしれません。

 

しかし酒販がいなければ胃がんは起こらないかもしれず、悪者にされずにヒトと共生を続けてこれたのかもしれません。

 

主犯が誰なのかが気になりますね。

 

ピロリ菌除去を考えている方は体の機能を調整するパートナーを失うという意味も考えてみるといいかもしれません。

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